新型コロナ下の企業の中期見通しの不確実性

執筆者 森川 正之(所長・CRO)
発行日/NO. 2022年8月  22-J-031
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概要

本稿は、新型コロナ下における日本企業の中期見通しとその不確実性について、新型コロナ発生前後の2019~2021年にかけて実施した独自の企業サーベイに基づく観察事実を示す。それによれば、第一に、中期的な経済成長率及び自社売上高の見通しの不確実性―点予測値の主観的信頼区間として計測―は、新型コロナに伴って大きく高まった。2021年末の時点でマクロ経済の不確実性はいくぶん低下したのに対して、自社売上高の不確実性は高止まりしている。第二に、マクロ経済見通しの不確実性と自社売上高見通しの不確実性の間には正の関係があり、企業固定効果を考慮しても確認される。第三に、新型コロナの終息予想時期は企業によって大きなばらつきがあり、これはマクロ経済見通しやその不確実性と密接に関係しているが、自社売上高の見通しやその不確実性との関係は確認されない。

※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:22-E-079