小学校時代の課外・学校外活動と学業、非認知能力、将来の成果との関係―運動と音楽の選択に着目して

執筆者 久米 功一(東洋大学)/鶴 光太郎(ファカルティフェロー)/佐野 晋平(神戸大学)/安井 健悟(青山学院大学)
発行日/NO. 2022年8月  22-J-030
研究プロジェクト AI時代の雇用・教育改革
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概要

本稿は、小学校時代の課外・学校外活動の選択に関連する要因とその成果に関して実証的に分析した。具体的には男女別に運動と音楽の経験を分析してその違いを明らかにした。

運動や音楽の活動の参加に関しては、とくに父親の学歴が影響していた。運動の選択には、交友関係の強さや地域行事への参加といった社会関係資本との関係がみられ、音楽の選択には、暮らし向き、家族でコンサートに行く、読書の経験といった文化資本が関係していた。

運動や音楽の経験の成果としての学業成績、非認知能力、学歴・賃金などに対しては、運動と音楽のどちらもやらないよりも、運動と音楽のいずれかを選択したグループの方が成果は高いことが分かった。また、運動、音楽は、性別や尺度によって異なる成果と関係していた。例えば、男女とも運動を選択したグループの方が賃金は高いが、男女とも音楽を選択したグループの方が小学校の学業成績は高かった。非認知能力については、女性の場合、運動を選択した人は音楽に比して外向性や競争選好が高く、これが賃金への影響にも結び付いている可能性が示唆された。運動、音楽両方を習った人は、子供側の負担が高く、男女とも片方だけやるよりも尺度によってはスコアが低いことも確認された。