外国企業によるM&Aが被買収企業のイノベーション活動に与える影響

執筆者 鈴木 真也 (武蔵大学)/乾 友彦 (学習院大学)/池田 雄哉 (文部科学省科学技術・学術政策研究所)
発行日/NO. 2021年3月  21-J-012
研究プロジェクト 東アジア産業生産性
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概要

近年、海外企業による日本企業の買収が増加傾向にある。また、自動車の電動化や自動運転などCASEと呼ばれる変化に関連する新しい技術が必要とされている自動車や半導体などの産業を中心に、技術獲得型M&Aの重要性も増している。特に国際的なM&Aの実施後には、企業グループ内での研究開発活動や技術資源の再編が行われている可能性が考えられる。本研究では、企業レベルのデータを用いて、外国企業に買収された日本企業の研究開発活動がどのように変化するのかを検証した。分析の結果、外国企業による買収は、その後被買収企業の研究開発費を減少させる効果を持つことがわかった。一方で、輸送用機械や電子機器などの産業では買収後にも研究開発費の減少が見られなかった。また、買収側企業の国籍により被買収企業の買収後の研究開発費の変化には違いがあることもわかった。