第四次産業革命に関連した特許出願と雇用と生産性のダイナミクスの関係性

執筆者 池内 健太 (研究員(政策エコノミスト))
発行日/NO. 2021年3月  21-J-011
研究プロジェクト 東アジア産業生産性
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概要

近年、産業構造を大きく変化をもたらす「第四次産業革命」として、人工知能(AI)やIoTといった新しいデジタル関連技術の発展とその産業応用に注目が高まっている。一方、国・産業レベルのデータを用いた先行研究では、デジタル化の進展は企業間の生産性格差を拡大し、市場のダイナミクスを低下させるという指摘もある。そこで本研究では、AI・IoTなどの第四次産業革命に関連した技術の発展と市場ダイナミクスとの関係性について日本のデータを用いて分析を行う。特許データを経済産業省企業活動基本調査、工業統計調査、事業所・企業統計調査及び経済センサス‐基礎調査及び経済センサス‐活動調査を接続した企業レベルのパネルデータを構築し、AI・IoTなどの第四次産業革命に関連した研究開発への取り組みが事業所・企業の生産性上昇と雇用成長にどのように関わっているかを検証し、政策的な含意について議論する。本研究の分析結果はAI・IoTといった第四次産業革命に関連した技術の発展は企業の生産性と雇用のダイナミクスと関連している可能性を示しており、AI関連技術の開発は特に中堅・大企業に恩恵をもたらし、中小企業への恩恵は限定的であった。