執筆者 | 佐々木 隆文 (中央大学)/花枝 英樹 (一橋大学) |
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発行日/NO. | 2021年2月 21-J-004 |
研究プロジェクト | 企業統治分析のフロンティア |
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概要
本研究では日本企業を対象にESGへの取り組みから期待される効果などについて企業の意識・考え方を聞くサーベイ調査を行った。サーベイの結果、回答企業は環境、従業員、社会(従業員以外)、ガバナンスの4分野いずれに関しても積極的な取り組みが将来の利益水準の向上につながると考えていることが分かった。また、利益水準への影響以上に将来の利益の安定性を高めると考えていることが分かった。このような傾向はとりわけ大企業の中で明確に見られた。これらの結果はESGへの取り組みが株主の利益を犠牲にしたものではなく、将来の企業価値向上のために行われている可能性を示唆している。更に本サーベイ調査ではESGへの取り組みが従業員、消費者、投資家といったステイクホルダー行動に良い影響を与えるとの期待が示され、ステイクホルダー行動の変化がESGによる企業パフォーマンス改善の経路となっている可能性が示唆された。