プロジェクト概要
スチュワードシップ・コード、コーポレート・ガバナンス・コードの実施を通じて、日本企業の統治制度改革は、形式的な整備から実効性の確保という新たな段階に入った。今後、この統治制度改革を通じて、日本企業の収益力(稼ぐ力)を改善して行くためには、改革が、企業のイノベーション能力の基礎であるR&D投資、人的資本投資を促進し、また積極的なM&A、事業再組織化、過度な負債圧縮の回避などに寄与する必要がある。もっとも、これまで、所有構造の変化、取締役会の改革といった統治制度の変化が、実際にこうした企業行動にどの程度、いかなるルートを通じて影響を与えるのかについて、十分に解明されてきたとは言えない。また、株主主権をモデルとする改革が、長期関係を基礎に置く他の経済制度(雇用システム)と実際に整合的に機能するのか、さらに、こうした市場による経営の規律の促進が、近視眼的な経営を生み出すという可能性も検討される必要がある。本プロジェクトの課題は、こうした問題意識から、現在の日本企業の統治制度の機能を、企業のイノベーション、M&A、事業再組織化、財務政策などの企業行動に焦点をあてて解明する点にある。
プロジェクト期間: 2019年9月 2日 〜 2021年8月31日
主要成果物
2023年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
2022年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
2021年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 21-E-084
"Distribution of Long-run Stock Returns: Evidence from Japan and the US" (ARIKAWA Yasuhiro and Vikas MEHROTRA) - 21-E-081
"Early-Life War Experiences and Corporate Financial Outcomes" (Arman ESHRAGHI, TAKAHASHI Hidetomo and XU Peng) - 21-E-067
"Going-Private Transactions and Ex-Post Firm Behaviors: Evidence from Japanese Management Buyouts" (KAWANISHI Takuya) - 21-E-065
"The Liability of Aging in Internal Capital Markets" (USHIJIMA Tatsuo) - 21-E-051
"Outsourcing Active Ownership in Japan" (Marco BECHT, Julian FRANKS, MIYAJIMA Hideaki and SUZUKI Kazunori) - 21-J-036
「機関投資家によるエンゲージメントの動機および効果」 (日高 航、池田 直史、井上 光太郎)