不眠を対象としたインターネット認知行動療法と「3つの良いこと」エクササイズの有効性の検証(3群ランダム化比較試験)

執筆者 佐藤 大介 (千葉大学)/関沢 洋一 (上席研究員)/須藤 千尋 (千葉大学)/平野 好幸 (千葉大学)/大川 翔 (千葉大学)/廣瀬 素久 (千葉大学)/竹村 亮 (慶應義塾大学)/清水 栄司 (千葉大学)
発行日/NO. 2020年4月  20-J-019
研究プロジェクト エビデンスに基づく医療に立脚した医療費適正化策や健康経営のあり方の探求
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概要

目的:我が国では、必ずしも改善につながらない睡眠薬による不眠症の治療が、長期連用、依存、多剤併用等の問題を起こし、医療費を含め多額の経済損失につながっている。医療費適正化の観点からは、薬物治療だけでなく、エビデンスに基づいた生活指導を導入することが重要であり、対面のみならず、利用しやすいインターネット上の生活指導としての不眠改善プログラムを提供することができれば、医療費の適正化が見込まれる。そこで、本研究では、インターネット認知行動療法(ICBT)群あるいはポジティブ心理学の「3つの良いこと」エクササイズ(TGT)群が、それぞれ待機群(何も行わない群、WLC)群に比べて、4週間の介入期間の終入直後に、不眠症状改善の優越性を有するかを明らかにすることを目的とした。

方法:不眠の問題を抱えた成人に対する、侵襲性を伴わないセルフ・メディケーションとしてのメール・サポートなしのセルフヘルプ型インターネット介入の有効性を検証した。セルフヘルプ型介入として、(1)ICBT群、(2) TGT群、(3) WLC群を設定して、4週間のプログラムを実施し、3群のランダム化比較試験を行った。主要評価項目として、4週時点にピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を測定し、副次評価項目として、8週時点にPSQI、及び、4週時点と8週時点に入眠潜時(SOL)、全睡眠時間(TST)、睡眠効率(SE)、アテネ不眠尺度(AIS)、全般性不安障害尺度(GAD-7)、こころとからだの健康評価尺度(PHQ-9)、うつ病の疫学研究用の自己評価尺度の幸福度(CES-D)、一般的信頼尺度、消費者態度指数の質問を測定した。

結果:インターネット登録会社を通じて参加を依頼した21,394名のうち、適格条件に合致した312名をランダムに割り付け(ICBT群106名、TGT群103名、WLC群103名)、4週間の介入プログラム、4週及び8週時点の介入後調査を経た270名(ICBT群79名、TGT群88名、WLC群103名)を解析対象者とした。ICBT群及びTGT群のベースラインから4週時点のPSQIの調整済み平均変化量は、WLC群に比べてそれぞれ有意な改善を示した。ICBT群のベースラインから4週時点のSOL、TST、AIS、PHQ-9、ベースラインから8週時点のPSQIの調整済み平均変化量が、WLC群に比べて有意な改善を示した。TGTのベースラインから4週時点のTST、AIS、PHQ-9の調整済み平均変化量が、WLC群に比べて有意な改善を示した。CES-D、一般的信頼尺度、消費者態度指数のベースラインから4週及び8週時点の調整済み平均変化量は、WLC群に比べてICBT群及びTGT群でそれぞれ有意な変化は示されなかった。

結論:インターネット認知行動療法および「3つの良いこと」エクササイズは、それぞれ、不眠の問題を4週間で改善することが示唆された。