日本の多国籍企業における対外直接投資と国際共同研究開発

執筆者 池内 健太 (研究員)
発行日/NO. 2020年2月  20-J-012
研究プロジェクト RIETIデータ整備・活用
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概要

経済のグローバル化は知識生産活動の国際化とどのように関係をしているのか。既存研究では、対外直接投資と研究開発の国際連携の空間的な相互依存関係が研究開発のパフォーマンスや生産性に与える影響については十分に明らかになっていない。そこで本研究では、日本の多国籍企業の対外直接投資に関するデータと国際的な特許データを相互に接続したデータベースを構築し、海外現地法人の立地先と特許発明における国際連携の間の空間的な相互依存関係について分析した。1990年代から約20年の長期のパネルデータの分析の結果、海外現地法人の立地先と国際連携のパートナーの立地先が相互に関係していることがわかった。また、海外の共同研究相手の近くに研究開発拠点が立地している場合には、質の高い特許が発明される傾向が明らかとなった。一方、海外拠点のある国での国際共同研究開発が企業業績に与える効果については明確な結果が得られなかった。これらの結果は、日本の多国籍企業は研究開発の国際連携の拠点として海外現地法人を活用しているが、国際共同研究の技術的な成果をうまく企業業績につなげられていない可能性を示唆している。