執筆者 | 東條 吉純 (立教大学) |
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発行日/NO. | 2020年2月 20-J-011 |
研究プロジェクト | 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第IV期) |
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概要
デジタル貿易の中核的要素であるインターネット及び越境データ流通の重要度が高まっている。各国では、この恩恵を最大限享受するための法的仕組みを維持することが重要な政策課題となっているが、その一方で、プライバシー保護やセキュリティなど、様々な国内の公共政策上の目的を実現するための施策を維持することも求められており、具体的にはデータローカライゼーション規制その他の形態で規制的介入が実施されている。
WTO協定は、デジタル貿易ないし越境電子商取引という観点から越境データ流通を規律する。中でも最重要なサービス貿易一般協定(GATS)は、越境データ流通を規律する上で様々な限界に直面しているが、WTO先例及び解釈上の議論の蓄積は、上記のデータ流通自由化と「信頼性」との適切な均衡点を検討する上で重要な手がかりを提供する。
また、FTA分野では、WTOレベルで合意できない新規ルールの導入に成功している。とくに、CPTPP協定では、電子商取引及び越境データ流通を直接対象とした規定が設けられる等、上記均衡点の模索という意味で、1つのモデルを提供するものである。