プロジェクト概要
今期プロジェクトの中心的なテーマとして、デジタル貿易の多国間ルール形成を扱う。インターネットは今やリアルの物品・サービス貿易の不可欠な取引手段と化し、更に「第4次産業革命」の時代では、ビッグデータのようなデジタル情報自体が物品のように取引される。こうしたデジタルエコノミーの国際的展開により、自由・無差別なデジタル貿易を保証するルール形成が急務である。従来このようなルール形成は主に地域経済統合(FTA/EPA)の文脈で発展してきたが、昨今特にWTOにおいて多国間のルール形成の必要性が再認識されている。このような背景に鑑み、本研究プロジェクトでは、各国における自由・無差別なデジタル貿易の障壁となる規制の調査・分析、FTAで形成されるデジタル貿易ルールの比較検討を中心に、多国間デジタル貿易ルール形成の基礎研究を実施する。
なお、このプロジェクトではその他に、前期間に引き続き国際経済法における競争中立性の問題、WTO判例研究も併せて実施する。
プロジェクト期間: 2017年12月18日 〜 2019年11月30日
主要成果物
2020年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
2019年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 20-E-014
"Competitive Neutrality of State-owned Enterprises in China's Steel Industry: Causal Inference on the Impacts of Subsidies" (WATANABE Mariko) - 19-E-076
"Generating a Reform of the BRI from the Inside: Japan's Contribution Via Soft Law Diplomacy" (Alisher UMIRDINOV) - 20-J-011
「WTO協定による越境データ流通の規律と限界」 (東條 吉純) - 19-J-067
「ガバメントアクセス(GA)を理由とするデータの越境移転制限―その現状と国際通商法による規律、そしてDFFTに対する含意―」 (渡辺 翔太)
RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー
- 20-P-010
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉜】米国-大型民間航空機に対する条件付税インセンティブ(DS487)-国産品優先使用補助金に関する解釈の展開-」 (川島 富士雄) - 20-P-004
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉛】ロシア-貨物通過に関する措置(DS 512)-安全保障例外(GATT21条)の射程-」 (川瀬 剛志) - 20-P-001
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉚】米国-大型民間航空機の貿易に与える措置(第2申立)(21.5条-EU)(DS353)-悪影響を除去しなければならない補助金の範囲-」 (梅島 修) - 19-P-037
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉙】ブラジル租税措置事件(DS472, 497)-内国税減免措置に対するWTOルールの適用範囲-」 (東條 吉純) - 19-P-034
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉘】インドネシア-野菜等園芸作物及び食肉等の輸入制限措置(D477/478)-複合的輸入措置における輸入制限効果及び正当化事由の認定、 並びに農業協定4.2条とGATT11条の関係-」 (清水 茉莉) - 19-P-032
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉗】米国-マグロラベリング事件・履行確認手続(DS381/RW2)-TBT協定2.1条と、"calibration"概念のあてはめについて-」 (平家 正博) - 19-P-014
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉖】EU-家禽肉製品の関税譲許に関する措置(DS492)-国家実行の支配する分野におけるパネルの法解釈の特質-」 (平見 健太) - 19-P-011
「【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉕】インドネシア-鶏肉及び鶏製品に関する措置(DS484)-ハラール要件と自由貿易の交差-」 (関根 豪政)