執筆者 | 川島 富士雄 (神戸大学) |
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発行日/NO. | 2020年3月 20-P-010 |
研究プロジェクト | 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第IV期) |
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概要
本件は米欧間の民間航空機補助金に関する一連の世界貿易機関(以下「WTO」という。)紛争のうち、米国ワシントン州政府による州内に航空機の生産拠点を誘致する税制に関し、WTO補助金協定3.1条(b)の「国産品優先使用補助金」該当性が争われた事件である。パネルは、申立国であるEUの訴えた補助金プログラムについて、同該当性のうちの補助金性を肯定した上で、もう1つの要件である国産品優先使用条件のうち、法令上の(de jure)国産品優先使用条件を否定した一方で、一部の補助金プログラムについて事実上の(de facto)国産品優先使用条件を肯定した。他方、上級委員会はパネルの認定を覆し、事実上の国産品優先使用条件を否定した。本稿では、本件報告により、国産品優先使用条件の認定に関する解釈がいかに発展したのか分析する。