執筆者 | 東條 吉純 (立教大学) |
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発行日/NO. | 2019年12月 19-P-037 |
研究プロジェクト | 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第IV期) |
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概要
本件紛争では、ブラジルが、様々な内国税減免の恩典を与える際の資格条件として、①特定の製造工程基準及びブラジル国内における生産・投資活動を定めた各種プログラム、②全収益の50%超が輸出によるものであることを定めたプログラム等についてのWTO適合性が問われた。
措置①について、上級委員会は、ガット3条違反のパネル結論を支持したが、3条義務を免除する3条8項(b)号の解釈については少数意見が付された。また、SCM協定3.1条(b)号の解釈・適用について、パネル認定の一部を取り消した。また措置②について、上級委員会はパネルによるSCM協定1.1条(a)(1)(ii)の補助金性認定を取り消し、対象措置が内国税減免である場合に、比較ベンチマーク認定に伴う困難さがあらためて確認された。
WTO加盟国が自国産業の保護育成や輸出振興を目的として内国税減免の恩典を与える場合、かつ、本件のように製造工程基準を補助金交付のための資格条件として用いる場合、WTO協定の規律がどこまで機能するかが問われている。