【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉗】米国-マグロラベリング事件・履行確認手続(DS381/RW2)-TBT協定2.1条と、"calibration"概念のあてはめについて-

執筆者 平家 正博 (西村あさひ法律事務所)
発行日/NO. 2019年11月  19-P-032
研究プロジェクト 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第IV期)
ダウンロード/関連リンク

概要

本件は、米国が導入した、マグロ製品にイルカ保護(dolphin-safe)ラベルを用いる条件が、TBT協定等に整合するか争われた米国-マグロラベリング事件の第2回履行確認手続である。本件紛争は、2008年に開始され、10年以上争われてきたが、今回、米国の措置が、TBT協定2.1条に整合するとの判断が出されたことで一応の終局を迎えた。TBT協定2.1条の解釈は、オリジナル手続や第1回履行確認手続にて議論が尽くされていたため、本件のパネルでは、基本的には、既に固まったTBT協定2.1条の解釈を前提に、事実認定や法的規範へのあてはめが争われた。その意味で、本件は、新たにTBT協定2.1条の解釈を示すものではないが、TBT協定2.1条に整合するとの判断を示しており、今後、TBT協定2.1条の法的規範にどうあてはめるべきか検討する上で、重要な指針を示すものである。