生活と職場での満足感と行動変容能力―日本における実証研究

執筆者 西村 和雄 (ファカルティフェロー)/八木 匡 (同志社大学)
発行日/NO. 2020年2月  20-J-004
研究プロジェクト 日本の経済成長と生産性向上のための基礎的研究
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概要

本研究では、日本人に対するアンケート調査の回答を基に、行動変容能力を、学習忍耐力、可塑性、受容性という因子に分解して分析し、それぞれの因子が、性別、年齢、前向き志向、自己決定指数にどのように依存するかを調べた。その結果、性別、前向き志向、自己決定指数は学習忍耐力、可塑性、受容性のすべてに影響を与えていた。前向き志向は学習忍耐力、可塑性、受容性のすべてに対して正の効果をもち、男性ダミーはすべてに対して負の効果をもっていた。自己決定指数は学習忍耐力と可塑性に対して正の効果をもち、受容性に対して負の効果をもっている。年齢が影響していたのは、可塑性のみであり、男性ダミーは正の効果を持っていた。

また、行動変容能力が生活と職場の満足度にどう影響しているかも調べた。その結果、健康、ストレス、所得、パートナーとの関係に対して、可塑性が重要な役割を果たし、有意に正の影響を持っていることが示された。職場で労働条件、仕事の裁量、職場の同僚、良い仕事の認識、上司、雇用の保障に関する満足度については、学習忍耐力と可塑性が正の影響を与えているのに対し、受容性は負の影響を与えるという共通の影響がみられた。