日本における雇用と生産性のダイナミクス―OECD DynEmp/MultiProdプロジェクトへの貢献と国際比較―

執筆者 池内 健太 (研究員)/伊藤 恵子 (中央大学)/深尾 京司 (ファカルティフェロー)/権 赫旭 (ファカルティフェロー)/金 榮愨 (専修大学)
発行日/NO. 2019年11月  19-J-066
研究プロジェクト 東アジア産業生産性
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概要

産業の新陳代謝は経済成長や生産性の上昇にとって重要な要因であり、国際的にも関心が高まっている。本研究では、日本において雇用成長と生産性上昇に寄与してきた要因を明らかにするために、経済協力開発機構の産業分析部会の開発した分析プログラムを日本のデータに適用し、国際比較可能な方法で日本の雇用と生産性における産業内・産業間の新陳代謝に関する分析を行った。その結果、日本は諸外国と比較して新規開業率が低く、雇用成長の主役である若い企業の割合や成長率が著しく低いこと、賃金と生産性の企業間の格差は諸外国と同様に拡大しており、特にサービス業で格差拡大が顕著であるが、リーマン・ショックの後縮小していること、企業間の資源配分の効率性はリーマン・ショックの前まで改善していたが、その後低下したこと、企業の資本投入は最適水準から乖離している傾向が強く、その傾向は時間を通じて強まっていることなどがわかった。