長期経済予測の不確実性

執筆者 森川 正之 (副所長)
発行日/NO. 2019年10月  19-J-058
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概要

本稿は、経済学者・エコノミストの長期的なマクロ経済予測の精度を事後評価する。分析結果によれば、①経済成長率や物価上昇率の長期予測には上方バイアスが存在し、特に名目GDP成長率予測で顕著である。②TFP上昇率と実質GDP成長率の予測値の間、CPI上昇率と名目GDP成長率の予測値の間には密接な正の関係があり、結果として各変数の予測誤差相互間にも同様の関係がある。③民間エコノミストに比べて経済学者の長期的なGDP成長率予測は上方バイアスが小さい。しかし、マクロ経済学や経済成長論を専門分野とする人の成長率予測は、他の分野を専門とする人に比べて上方バイアスが大きい。経済分析の専門家にとっても、長期経済予測には大きな不確実性があることを示している。

※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:19-E-084