特別養護老人ホームのマネジメントとパフォーマンス

執筆者 乾 友彦 (ファカルティフェロー)/川崎 一泰 (中央大学)/伊藤 由希子 (津田塾大学)/宮川 努 (ファカルティフェロー)/真野 俊樹 (中央大学)
発行日/NO. 2019年8月  19-J-049
研究プロジェクト 生産性向上投資研究
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概要

日本社会の高齢化に伴い高齢者に対する介護サービスの需要が急速に増加している。今後一層の拡大が予想される介護サービスの需要に伴い、現状でも既に深刻化している介護サービスの担い手不足への対応に加えて、財政的な負担の急拡大を抑制するためにも、労働生産性の向上が介護サービスの供給側にも求められる。

先行研究では、経営管理に優れた事業所は、優秀な人材を確保することに成功し、その事業所の生産性等のパフォーマンスを向上させること、利潤最大化を目的としない公共サービス機関(病院、学校)においても、経営管理の向上がその機関が提供するサービスの質の向上に寄与することが確認されてきた。本研究は、特別養護老人ホームの経営管理とそのパフォーマンスの関係を分析した。その結果、経営管理が優れた事業所ほど労働生産性の向上、IT化の進展、ロボット化の進展、施設管理者の新規業務や業務の改善のための時間の割合が増える等、直接的あるいは間接的に生産性の向上に寄与することが判明した。一方、優れた経営管理と離職率の減少、高齢従業者の割合の上昇には関係が見られなかった。