都道府県別農産物生産価格差指数の作成-立地と品質

執筆者 徳井 丞次 (ファカルティフェロー)/水田 岳志 (一橋大学経済研究所)
発行日/NO. 2019年8月  19-J-048
研究プロジェクト 地域別・産業別データベースの拡充と分析-地域別・産業別生産性分析と地域間分業
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概要

本研究では、単位収入関数に基づいて、農産物の生産者価格を地域別に比較する指数をツルンキビスト指数の形で導出し、これに実際のデータを当てはめて都道府県比較を行った。指数作成に用いたデータは農林水産省「農業物価統計調査」の品目別農家受取価格である。指数作成は二段階で行い、まず一段階目は品目別農家受取価格にCountry-Product-Dummy法を適用して品目大分類別に地域間価格差を推定した。この結果と、品目大分類別に地域の出荷額シェアを使ってウェイト付けし二段階目にツルンキビスト指数の都道府県別農産物生産価格差指数を作成した。一段階目で推定した品目大分類別に地域間価格差は、消費地までの距離データと組み合わせて、消費地の市場価格データを説明する回帰式を推定したほか、穀物については米の食味指数との相関を確認した。その上で、二段階目の都道府県別農産物生産価格差指数について、どの品目大分類が全体の指数に大きな影響を与えているかを分析し、農地面積当たり農業産出額との相関を確認した。その結果、地域の農産物の生産者単価を総合的に評価する都道府県別農産物生産価格差指数でみて、上位地域と下位地域の間には50パーセントもの開きがあり、それは地域の農地面積当たり農業産出額と相関を持っていることが確認された。また、品目大分類別では都道府県順位に多くの地域で貢献が大きいのは穀物と野菜の地域間価格差であった。