企業の主観的不確実性と予測誤差

執筆者 森川 正之 (副所長)
発行日/NO. 2019年6月  19-J-035
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概要

本稿は、企業の事前の主観的不確実性と事後的な予測誤差の関係についての観察事実を提示する。日本の上場企業を対象としたサーベイに基づく売上高・雇用の先行きの予測値及びその主観的確率分布に関するデータを、企業財務データに基づく事後的な実績値とリンクさせて分析に使用する。その結果によれば、予測の確率分布の幅で見た事前の主観的不確実性は、事後的な絶対予測誤差と正の関係がある。自社の売上高・雇用の先行き見通しの主観的不確実性は、マクロ経済見通しのそれに比べて不確実性指標として精度が高い。分析結果は、企業サーベイに基づく先行き見通しの主観的な確率分布が、不確実性指標として意味のある情報を含んでいることを示すものである。

※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:19-E-055