ダイバーシティ経営と人材マネジメントの課題:人事制度改革と働き方の柔軟化を

執筆者 佐藤 博樹 (中央大学)
発行日/NO. 2019年4月  19-J-024
研究プロジェクト 労働市場制度改革
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概要

日本企業は、人材マネジメントとして、多様な人材を受け入れるだけでなく、多様な人材が活躍できる機会を用意し、それを経営成果に結びつけるダイバーシティ経営を定着させることが不可欠な社会経済環境に直面している。日本企業がダイバーシティ経営を推進するためには、人材マネジメント面において解決すべき2つの課題がある。第1は働き方改革であり、第2は人事制度改革である。第1の働き方改革の目的は、単なる長時間労働の解消ではない。例えば、従来の残業付きのフルタイム勤務や転勤に対応できない社員であっても、能力を発揮できる働き方へ改革することである。第2の人事制度改革は、ダイバーシティ経営との関係で議論されることが少ない。しかし、ダイバーシティ経営を実現するためには、従来の同質的な人材を想定した人事制度の根本的な改革が不可避となる。

本稿では、上記の問題意識を踏まえて、働き方改革と人事制度改革の現状と課題を分析する。具体的には、ダイバーシティ経営を企業内に定着させ、その目的である多様な人材の活躍を実現するためには、人事制度の改革と働き方改革が必要となることを、独自に実施した個人アンケート調査に基づいて分析する。