執筆者 | 枝村 一磨 (日本生産性本部) |
---|---|
発行日/NO. | 2019年4月 19-J-023 |
研究プロジェクト | 技術知識の流動性とイノベーション・パフォーマンス |
ダウンロード/関連リンク |
概要
本研究では、日本におけるスピルオーバー・プールが企業の特許出願行動に与える影響を、科学技術研究調査とIIPパテントデータベースを用いて実証的に分析した。技術間の補完性を考慮したマハラノビス距離を用いて企業と他組織との技術距離を定義し、企業が利用可能であるスピルオーバー・プールを産学官のそれぞれについて算出した。企業の特許出願行動の代理変数として特許出願件数を考え、非負のカウントデータであることを考慮したパネル・ポアソンモデルによる推計の結果、スピルオーバー・プールは企業の特許出願件数にプラスのインパクトを与えていた。産学官それぞれのスピルオーバー・プールについても、企業の特許出願件数にプラスのインパクトが確認された。この傾向は、基礎研究、応用研究、開発研究のそれぞれについて算出したスピルオーバー・プールを用いた場合でも、同様であった。