近年のわが国の地域別旅行者数に関するジップ法則とジブラ法則:訪日旅行者と邦人旅行者の比較

執筆者 小西 葉子 (上席研究員)/西山 慶彦 (京都大学経済研究所)
発行日/NO. 2019年2月  19-J-008
研究プロジェクト 産業分析のための新指標開発とEBPM分析:サービス業を中心に
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概要

日本は近年、例の無いインバウンドブームを経験している。訪日旅行者の滞在先は従来、関東・関西の大都市に集中してきた。一方で、リピーターの増加やSNSなど情報発信ソースの多様化から地方への分散や局地的な旅行客の増加が日常でも観察されている。本稿では旅行客の滞在先の分布とその変動について統計的に観察することを目的とする。分析では、国土交通省の『宿泊旅行統計調査』の宿泊事業所の情報を市区町村別、都道府県別に集計したデータを用いる。各地域の宿泊者数の規模についてジップ法則とジブラ法則が成立するかを観察する。ジップ法則を確認するために、宿泊者数(サイズ)の対数値を順位(ランク)の対数値に回帰する。結果より、旅行者が多く滞在した上位の地域ではジップ法則が当てはまっているが、日本全体ではジップ法則は観察されなかった。次に、滞在先分布のダイナミクスをジブラ法則等により観察する。分析を通じて、邦人旅行者の行き先やその規模は非常に安定的であり、一方、訪日旅行客は規模の成長率が高く、各地域の順位の変動が大きい。また、近年は規模と成長率に関係があり、現在旅行客が少ない地域ほど高い成長率を実現できることが各種定量分析により明らかになった。