日本企業グループの海外直接投資と国内労働需要

執筆者 荒木 祥太 (研究員)
発行日/NO. 2018年10月  18-J-029
研究プロジェクト RIETIデータ整備・活用
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概要

本論文は、国内および海外に子会社を持つことで、企業グループを形成する多国籍企業の海外事業活動規模の拡大によって、企業グループ全体の国内労働需要にいかなる影響を及ぼすのかを分析する。用いるのは、「経済産業省企業活動基本調査」(1992年および1995年から2016年まで)および「海外事業活動基本調査」(1996年から2016年まで)の調査票情報である。分析の結果、製造業に属する親会社が海外事業活動を拡大させても、国内の雇用水準には負の影響はなく、有意に正の影響が見出された。
一方、企業グループで見た際の国内製造業現業部門労働者比率は、親会社の海外事業活動規模の拡大に応じて低下することから、日系多国籍企業の海外事業活動の規模の拡大は、企業グループ内で国内業務の再編を伴う形で国内労働需要を増加させると考えられる。