どのような企業のサービスの質が高いのか-顧客満足度指数を利用した実証分析-

執筆者 石川 貴幸 (一橋大学)/枝村 一磨 (日本生産性本部)/滝澤 美帆 (東洋大学)/宮川 大介 (一橋大学)/宮川 努 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2018年9月  18-J-027
研究プロジェクト 生産性向上投資研究
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概要

本研究は、日本生産性本部が2009年から計測を行っている企業(ブランド)レベルの顧客満足度指数を用いて、当該指数で計測された「サービスの質」と企業属性および外部環境との関係を実証的に検討したものである。得られた推定結果から、第一に、流動性資産を多く保有する企業の顧客満足度が相対的に高いという特徴が確認された。第二に、長期に亘り企業活動を継続している老舗企業について相対的に高い顧客満足度が観察された。第三に、各企業が直面する競争度合いをプライスコストマージンによって計測した上で、顧客満足度との関係を確認したところ、競争度が特に高い場合と特に低い場合(独占度が高い場合)において相対的に高いサービスの質が観察された。なお、本稿で用いた顧客満足度は、大半の分析対象企業において労働生産性と正の相関関係を有しており、生産性の面で優れた企業がサービスの質についても高い水準を実現していることが確認されるものの、一部の業種においては低生産性企業が高い顧客満足度を示す例も見られるなど、各企業の技術的な選択の結果として発現する生産性とサービスの質の組み合わせが、同一産業内であっても多岐に亘る可能性を示唆している。

Published: 石川貴幸, 枝村一磨, 滝澤美帆, 宮川大介, 宮川努, 2018. 「どのような企業のサービスの質が高いのか? --顧客満足度指数を利用した実証分析--」 『経済研究』第69巻第4号, pp. 346-362
http://www.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/publication/ER/abst.php?vol=69&no=4&page_s=346