執筆者 | 小西 葉子 (上席研究員)/齋藤 敬 (経済産業省)/石川 斗志樹 (経済産業省) |
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発行日/NO. | 2018年7月 18-J-023 |
研究プロジェクト | 産業分析のための新指標開発とEBPM分析:サービス業を中心に |
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概要
本稿では、電気冷蔵庫の「統一省エネルギーラベル」に含まれる①年間消費電力量(kWh)、②省エネ基準達成率について、それらが省エネ指標として市場で評価され、効果的であったかを観察することを目的とする。分析では、全冷蔵庫の国内販売シェアの約76%を占めるPOSデータを用い、スペック情報と省エネ変数を整備して地域別の分析を行った。まず、ヘドニック価格関数により、各省エネ指標への消費者の限界支払い意思額を推定した。次に、推定結果に基づき、省エネ製品使用の節電便益に対する割引現在価値と主観的割引率の推定を行った。結果は、①の指標については4.3%〜7.8%、②は0.7%〜10.7%であり、冷蔵庫の割引率推定を行った先行研究と比較して低かった。つまり、消費者は冷蔵庫購入時に近視眼的に現在の製品価値のみに反応するのではなく、使用期間中に得られる節電便益を考慮した意思決定を行えており、この2種類の指標は省エネ製品普及に貢献しているといえる。