中小企業における生産性動学:中小企業信用リスク情報データベース(CRD)による実証分析

執筆者 池内 健太 (研究員)/金 榮愨 (専修大学)/権 赫旭 (ファカルティフェロー)/深尾 京司 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2018年5月  18-J-019
研究プロジェクト 東アジア産業生産性
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概要

日本では、二重構造論として古くから指摘されてきたように、中小企業が経済全体に占めるシェアが比較的高く、また大企業と中小企業間の規模間格差も大きい。しかしながら、先行研究の多くは、データの制約のため中規模以上の企業を主な対象としており、中小企業に関する生産性動学に焦点を当てた分析は少ない。特に非製造業に関するそのような研究は極めて限られている。このような問題意識から、本論文ではCRD協会が全国の信用保証協会および政府系・民間金融機関が有する取引先情報に基づいて作成した中小企業信用リスク情報データベース(Credit Risk Database)の個票データを用いて、非製造業も含めた中小企業に焦点を当てて生産性動学分析を行う。分析の結果、日本の中小企業における生産性上昇の源泉が大企業とは大きく異なっていることが分かった。企業の内部で起きる生産性上昇の寄与(内部効果)が中心の大企業に対し、中小企業では相対的に生産性の低い企業から生産性の高い企業への再配分効果による寄与が大きい。しかしながら、中小企業においても、相対的に小さく生産性が高い企業が僅かしか参入せず、また相対的に大きく、生産性が高い企業が退出するなど、経済の新陣代謝が十分に働いていない側面も見られた。