本社機能とスキル偏向的技術変化

執筆者 川上 淳之 (東洋大学)
発行日/NO. 2017年7月  17-J-043
研究プロジェクト 無形資産投資と生産性 -公的部門を含む各種投資との連関性及び投資配分の検討-
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概要

本論文は、従業者のうち本社機能を担う本社機能社員に注目し、現業のフルタイム労働者とパートタイム労働者に対する補完・代替関係を、スキル偏向的技術変化の枠組みを用いて分析を行った。90年代半ばから、現業パートタイムが増加する一方で、本社機能従業者、現業フルタイム労働者は減少傾向にある。本社機能従業者の役割は、時間を通じて管理的役割から起業家的役割に移行している傾向も確認された。

推計上の課題から、単一事業所の企業において、本社機能の規模が現業フルタイムの需要を低下させるスキル偏向的技術変化を持つことが確認された。特に、管理的役割に関する本社機能でその傾向が強く、起業家的役割を持つ本社機能において、素材関連製造業、卸売業で現業フルタイムの需要を高める効果が確認された。一方で、本社機能の規模ではなく、その内容の構成に注目すると、業種によって異なる傾向が確認された。