景気・為替レート・物価変動の連関ダイナミクス

執筆者 吉川 悠一 (新潟大学)/家富 洋 (新潟大学)/青山 秀明 (ファカルティフェロー)/吉川 洋 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2016年5月  16-J-046
研究プロジェクト 物価ネットワークと中小企業のダイナミクス
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概要

景気、為替レートおよび国内物価の連関ダイナミクスを実証的に明らかにするため、景気動向指数(先行、一致、遅行)、円ドル為替レート、中分類物価指数(輸入、企業、消費者)を組み合わせた月次データ(1985年1月から2014年12月までの期間)に対して、複素ヒルベルト主成分分析を行った。自己相関を保存し相互相関のみを破壊する回転ランダム・シャフリングを帰無仮説とする統計的検定を行ったところ、有意味な主成分(固有モード)が2個得られた。中下流にあたる国内物価に影響が波及していく際のリード・ラグ関係は、両固有モード間で酷似している。この結果は、物価間の相互作用に起因する普遍的な物価の集団運動の存在を示唆する。しかし、物価の集団的変動メカニズムは2つのモードで異なり、第1モードでは川上側の為替レートが、第2モードでは川下側の需要が物価変動を駆動している。