原子力発電の効率化と産業政策―国産化と改良標準化―

執筆者 石井 晋  (学習院大学)
発行日/NO. 2014年5月  14-J-026
研究プロジェクト 通商産業政策・経済産業政策の主要課題の史的研究
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概要

1960年代の原発に対する産業政策においては、海外技術の早急な導入とともに、機器の国産化が強く推奨された。国産化に向けた政策支援を受けながらも、電力会社と電機メーカーは自立的に動き、海外技術導入と国産技術開発に向けて共同研究を積み重ねた。これにより、PWRグループとBWRグループを形成し、着々と原発建設を推進した。建設の過程では、単なる技術導入にとどまらず、独自の改良や新たな技術の改良もなされた。1970年代の石油危機を経て、エネルギー政策が「国策」上の地位を高め、石油代替エネルギーの中でも、原子力開発推進政策が強化された。この時期、安全性と効率性の観点から原発の改良標準化が進められた。改良は進んだものの、同時期に原発開発を積極的に推進したフランスに比し、プラントレベルの標準化は不十分に終わった。1970年代後半以降の原発に対する産業政策は、必ずしも国主導ではなく、電力会社と電機メーカーの固定的関係の追認・強化として政策が実行され、多様な原子炉の型が乱立し続けた。