執筆者 | 石井 晋 (学習院大学) |
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研究プロジェクト | 通商産業政策・経済産業政策の主要課題の史的研究 |
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。
政策史・政策評価プログラム (第三期:2011~2015年度)
「通商産業政策・経済産業政策の主要課題の史的研究」プロジェクト
1960年代以来、原子力発電設備の国産化政策が実施された。これを受けて、電力会社と電機メーカーは、共同研究により、海外技術導入と国産技術開発を進めた。これにより技術蓄積が進み、両者の間で、強固で固定的な、PWR(加圧水型原子炉)グループとBWR(沸騰水型原子炉)グループが形成された。
1970年代以降、石油危機を受けて、原発のエネルギー源としての重要性が増し、国策として開発が強化されるに至った。通産省は、安全性と効率性を高めるために「改良標準化」計画を推進した。この時、原発推進の主導権を握っていた電力会社と電機メーカーは、固定化したPWRグループ、BWRグループ内でそれぞれ独自の観点から改良と機器の標準化を進め、通産省はこれを追認した。この結果、原子炉プラントのサイズやシステムの標準化は十分に進まなかった。プラントレベルの標準化が進んだフランスに比し、日本では多様な型式の原子炉が乱立する状態に至った。産業政策は歴史的経緯に制約され、政策の合理性の検討は不十分であった。重要な政策の形成過程においては、歴史的経緯を踏まえた上で、長期的な視点で、抜本的にその合理性を検討する必要がある。
炉型 | 出力(MW) | 営業運転開始時期 | 主契約者 | ||||||
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1970-79 | 1980-84 | 1985-89 | 1990-94 | 1995-99 | 2000-05 | ||||
日本 | BWR | 820-825 | 1 | 1 | 1 | 日立1、東芝1、東芝/日立1 | |||
1100-1137 | 2 | 2 | 4 | 5 | 1 | 日立4、東芝6、東芝/日立2、GE/東芝1、GE/日立/清水1 | |||
1356-1380 | 2 | 1 | 東芝/日立1、GE/東芝/日立2 | ||||||
その他 | 9 | 1 | 1 | ||||||
PWR | 559-579 | 2 | 2 | 1 | 1 | 三菱重工6 | |||
826-890 | 3 | 1 | 3 | 1 | 三菱重工2、三菱商事5、WH/三菱商事1 | ||||
1160-1180 | 2 | 1 | 3 | 1 | 三菱重工5、WH/三菱商事2 | ||||
その他 | 2 | ||||||||
フランス | PWR | 917-956 | 5 | 23 | 6 | Framatome34 | |||
1362-1382 | 14 | 6 | Framatome20 | ||||||
1560-1561 | 4 | Framatome4 | |||||||
その他 | |||||||||
注:Framatomeは、現Areva 出所:原子力産業協会『世界の原子力開発の動向 2006年次報告』2007年4月 |