執筆者 |
森川 正之 (理事・副所長) |
---|---|
発行日/NO. | 2014年4月 14-J-024 |
ダウンロード/関連リンク |
概要
本稿は、日本の企業レベルのデータを使用し、サービス産業のイノベーションの実態、イノベーションに対する特許および営業秘密の役割について、製造業と比較しつつ観察事実を提示する。分析結果によれば、第1に、サービス企業は製造業企業に比べてプロダクト・イノベーションが少ないが、イノベーションを行っている企業の生産性は非常に高い。第2に、サービス企業は製造業企業に比べて特許を所有している割合が顕著に少ないが、営業秘密の保有は同程度である。第3に、特許・営業秘密の保有はプロダクト・イノベーションと強い正の関係を持っており、製造業とサービス産業とで大きな違いはない。一方、プロセス・イノベーションに対しては、製造業でのみ営業秘密が正の関係を持っている。以上の結果は、サービス産業の生産性を高める上でも、特許制度や営業秘密の法的保護が重要な役割を果たすことを示唆している。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:14-E-030