中小企業金融における信用リスクデータベースの役割

概要

情報の非対称性は、中小企業の資金調達を困難化する。情報の非対称性を軽減するためには、信用リスク情報を共有する枠組みが有用である。個別の中小企業の信用リスク情報を共有する枠組みとしては、信用調査機関や格付会社が存在する。今後、関係依存型金融や取引依存型金融の多様化や効率化を進めるためには、これら個別の中小企業の信用リスク情報だけでは不十分であり、大規模な信用リスクデータベースを利用した共通の物差しとしての平均的な中小企業の信用リスク指標が利用可能となることが有用である。こうした信用リスクデータベースは、情報インフラの公共財的性格を持っており、民間部門と公共部門が協働して構築していくことが求められている。