プログラム:特定研究

中小企業の審査とアジアにおけるCRD中小企業データベースの構築による中小企業・成長セクターへの資金提供

プロジェクトリーダー/サブリーダー

吉野 直行 顔写真

吉野 直行 (ファカルティフェロー)

リーダー

プロジェクト概要

日本の中小企業のアジア進出が進む中で、中小企業が金融機関から現地でも、より容易に借入ができるためには、中小企業と銀行との間の、情報の非対称性を縮小させる必要がある。そのためには、中小企業の財務データ・非財務データの収集が必要である。日本ではCRDによるデータの収集が10年以上も続けられており、大量のデータの収集・分析により、中小企業の格付けも可能となっている。アジアでは、中小企業が圧倒的な比率を占めているが、情報の非対称性により、なかなか銀行からの借入が出来ず、地元の貸金業者から、高い金利で借り入れているのが実情である。日本のCRDの経験を、タイ・インドネシア・マレーシアなどの諸国で展開し、アジアにおける中小企業金融の円滑化、さらには、日本からアジアに進出する中小企業が現地の金融機関からも容易に借り入れられるデータベースを構築したい。これにより、中小企業の格付けも可能となる。

ベトナムなどでは、現地に進出した中小企業が、地場銀行から、とても高い金利を要求され、せっかく進出したのもかかわらず、高い金融費用を払わなければならないケースも出ている。

また、日本に関しては、財務データ以外の非財務データ(ソフトデータ)が、貸出の現場で、どのように利用されているか、さらには、どのような非財務データが審査の上で重要であるかを調べることにより、アジアの中小企業データの収集の際に役立てたい。

銀行の自己資本の充実が強化される中で、日本の地域の企業・中小企業に、如何に円滑に資金を流すか、貸手である銀行と借り手中小企業・地場企業の情報の非対称性を縮小されるためのデータ構築とデータ分析により中小企業の格付けの設定は不可欠な要素と思われる。

日本の場合には、信用保証協会や金融機関が集めた中小企業データを用いて、CRDデータは構築されている。しかし、タイやインドネシアでは、信用保証制度は、発展途上であり、日本と同じ仕組みで、中小企業データを集めることは困難であり、それぞれの国の実情を踏まえながら、データ収集、データ分析を考える必要がある。

日本と同じ形式でのデータ収集が開始できれば、日本の金融機関が現地での信用調査を日本の場合と同じに行うことができるようになり、アジアへの進出にとって有利となる。借り手の中小企業も、日本で金融機関に出しているデータ方式と同様のものを、アジアの現地の金融機関に提供すればよいことになり、企業の負担も軽減されるし、現地銀行からの借り入れの際の、手間も格段に削減され、効率性の向上につながると期待される。

本プロジェクトは、中小企業庁国際室と共同しながら進めているプロジェクトである。

プロジェクト期間: 2011年7月12日 〜 2013年5月31日

主要成果物

2014年度の成果

RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー

2013年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー