仕事と結婚の両立可能性と保育所:2010年国勢調査による検証

執筆者 宇南山 卓  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2013年5月  13-J-039
研究プロジェクト 日本経済の課題と経済政策Part2-人口減少・持続的成長・経済厚生-
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概要

本稿では、1980年から2005年の国勢調査のデータを用いて女性の結婚・出産と就業の両立可能性の動向を分析した宇南山(2010; 2011)の結果を、最新データである2010年国勢調査まで延長した。新たに追加された2010年の結果に基づき推定した「結婚・出産による離職率」は62.4%であり、2005年までの推定値である83.6%より大幅に低かった。ただし、2010年の国勢調査は婚姻状態や労働力状態の「不詳」の影響を受けるおそれがあったため、その影響について考察した。結果的には、他の統計を用いて補正しても離職率の推計値は大きく変化しなかったことから、実際に両立可能性は改善したと考えられる。宇南山(2010; 2011)で指摘された離職率の最大の決定要因である保育所の整備状況は、2005年以降に有意に改善されており、両立可能性の改善は保育所の整備によるものと考えられる。