執筆者 |
吉川 洋 (ファカルティフェロー) /安藤 浩一 (中央大学) /宮川 修子 (東京大学) |
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発行日/NO. | 2013年5月 13-J-033 |
研究プロジェクト | 日本経済の課題と経済政策Part2-人口減少・持続的成長・経済厚生- |
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概要
少子高齢化のもとで経済成長を生み出すためには技術進歩、とりわけプロダクト・イノベーションが重要な役割を果たす。技術進歩については全要素生産性(TFP)の研究が国際的になされている。ITの効果を中心とするTFPに関する実証研究は、意義はあるものの、それだけではプロダクト・イノベーションの役割を十分にとらえることはできない。本稿では、「PartⅠ」「PartⅡ」の論文をふまえて、プロダクト・イノベーションとTFPの関係につき理論的にさらに検討を加え、TFPでは捉えられない経済成長について検証する。
イノベーションは、TFPを向上させることにより経済成長をもたらす場合もあるが、投入増加を生じさせて経済成長を生じさせる場合もある。後者は、存在しなかったプロダクトを新たに生じさせるプロダクト・イノベーションと関連が深い。本稿では、企業レベルのデータを用いて、TFPの向上を伴わない経済成長の程度を確認し、少なくない業種でそのような場合が見られることを検証する。また、ケーススタディとして、新興国におけるローテクの自動車販売が、市場の発見による需要創出の1ケースであることを確認する。