発展途上国のキャッチダウン型イノベーションと日本企業の対応―中国の電動自転車と唐沢製作所

執筆者 丸川 知雄  (東京大学) /駒形 哲哉  (慶應義塾大学)
発行日/NO. 2012年8月  12-J-029
研究プロジェクト アジアにおけるビジネス・人材戦略研究
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概要

発展途上国の企業が、途上国の所得水準、需要、社会環境に適合的な製品やサービスを生み出すために、先進国企業とは異なる方向に技術を発展させる活動を本稿では「キャッチダウン型イノベーション」と呼ぶ。その具体例として中国の電動自転車が挙げられる。日本の電動アシスト自転車に源流を持ちつつも、それよりも二桁大きな市場を形成した。こうした途上国独自の産業は日本企業とは無縁な世界と思われがちだが、電動自転車向けのブレーキにおいて中国で40%以上のシェアを獲得している日本の中小企業がある。その企業の成功経験から、日本企業がキャッチダウン型イノベーションの展開されている世界のなかで商機をつかむにはどのような条件が必要か考察する。