日本におけるサードセクター組織の現状と課題―法人形態ごとの組織、ガバナンス、財政の比較―

執筆者 後 房雄  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2012年5月  12-J-012
研究プロジェクト 日本におけるサードセクターの経営実態と公共サービス改革に関する調査研究
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概要

特定非営利活動法人の急増、公益法人制度改革、社会的企業への注目などを経て、日本においても政府行政セクター、企業セクターと並ぶサードセクターを語りうる条件が生まれてきている。従来のように特定非営利活動法人だけを対象にNPOを語るにとどまらず、各種公益法人などを含めた広義の非営利セクター、さらには協同組合、地縁組織、社会的企業なども含むサードセクター全体を「新しい公共」の担い手として位置付けるべき時期にきている。

本稿では、独自に実施したアンケート調査に基づいて、サードセクター組織全体、およびそれに含まれる諸組織の法人形態ごとの経営の特徴を明らかにしようとするものである。さらに、極めて複雑に分岐している非営利法人制度の統一化も含めて、サードセクター全体が1つのセクターとして期待される役割を果たしうるようになるための制度と経営の課題を、法人形態による違いと共通性を踏まえながら論じる。