外国人研修生受入れ特区の政策評価

執筆者 橋本 由紀  (東京大学大学院 / 日本学術振興会)
発行日/NO. 2011年4月  11-J-048
研究プロジェクト 少子高齢化と日本経済-経済成長・生産性・労働力・物価-
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概要

わが国では、失業率が依然高水準にあるとはいえ、少子高齢化に伴う労働力人口の減少が中長期的に不可避である以上、必要労働力の確保は企業にとって重要な課題となる。

本稿では、2003年に構造改革特区の1つとして実施され、従業員50人未満の認定企業について通常の2倍(6人)まで受入枠の拡大を認める「外国人研修生受入れ特区」(研修生特区)に着目し、これらの特区が受入企業や地域の労働市場に及ぼした影響を評価する。具体的には、工業統計調査の個票データを特区計画に記載された認定企業とマッチングし、受入れ企業の特徴を、地域内非認定企業や他地域企業との比較によって明らかにする。その結果、非正規労働者比率の趨勢的な増加にもかかわらず、認定企業では、特区認定後に、同比率が減少していることが確かめられた。このことは、日本人非正規労働者と外国人研修生・技能実習生の代替関係を示唆する。また、認定企業の生産額や賃金水準は、地域や産業相場よりも高く、相対的に生産性の高い企業であることもわかった。