執筆者 |
浦坂 純子 (同志社大学) /西村 和雄 (ファカルティフェロー) /平田 純一 (立命館アジア太平洋大学) /八木 匡 (同志社大学) |
---|---|
発行日/NO. | 2011年3月 11-J-020 |
研究プロジェクト | 活力ある日本経済社会の構築のための基礎的研究:複雑系の観点から |
ダウンロード/関連リンク |
概要
本論文では、慶應義塾大学パネル調査共同研究拠点にて設計された「日本家計パネル調査(JHPS)」データを利用して、理系出身者と文系出身者との所得差を再検討した。
調査の結果、男性の場合、文系出身者の平均値が559.02万円(平均年齢46歳)で、理系出身者は600.99万円(平均年齢46歳)となっており、理系出身者の方が高くなっていることが示された。また、文系出身者と理系出身者のデータを分離してそれぞれについて、重回帰分析によって年齢-所得プロファイルを計算した結果、理系出身者の方が文系出身者より、年齢の上昇と共に所得上昇の傾斜が大きくなっており、理系非国立出身者の所得は、文系出身者よりも、若年期では低くなっているものの、40歳以降では高くなることが示された。
これらの結果は、理系出身者の方が、文系出身者よりも生産している付加価値額が高いことを示唆している。このような傾向は、新しい価値を生み出す創造性が競争力の源泉となるこれからの社会においては、さらに強まることが予想される。その意味において、理系的能力の養成を、教育課程の中で重点化して進めていく必要があろう。