執筆者 |
山口 一男 (客員研究員) |
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発行日/NO. | 2010年8月 10-J-049 |
研究プロジェクト | ワーク・ライフ・バランス施策の国際比較と日本企業における課題の検討 |
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概要
本稿は「女性は結婚・出産すると離職してしまうので、人材投資は無駄になる」「女性は男性に比べ生産性も向上心も低い」という日本企業の多くの管理職者の認識に表面的には見合うような女性雇用者の存在が、女性雇用者の問題ではなく、日本企業における予言の自己成就を招く選択によって、企業が自ら生み出していることの理論的根拠を示す。またその予言の自己成就状況を打開する対策も議論する。離職についてはベッカーの離婚の自己成就の理論の拡大・応用となる。生産性についてはコートとラウリー(CL)のゲーム理論的モデルに依拠しながら、CL理論では考慮しなかった新たな2種の対策を提示し、またCL理論の仮定をわが国の実情に合わせて変えた場合の結果の分析も提示する。これらの分析を通して経済活動での男女共同参画の促進に何を考慮すべきかを論じる。