国内外におけるマクロ計量モデルとMEAD-RIETIモデルの試み

執筆者 福山 光博  (コンサルティングフェロー) /及川 景太  (コンサルティングフェロー) /吉原 正淑  (コンサルティングフェロー) /中園 善行  (リサーチアシスタント)
発行日/NO. 2010年7月  10-J-045
研究プロジェクト 新しいマクロ経済モデルの構築および経済危機における政策のあり方
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概要

米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発し、08年9月の米大手投資銀行の破綻から深刻化した世界的な金融危機は日本経済にも大きな影響を与えた。世界的に景気が後退し、金融資本市場が大きく変動する中で、我が国は政策対応を行ってきた。海外要因をはじめとした各種のリスクや政策効果の分析を行いつつ、将来の経済の姿を想定しながら政策運営を行っていく必要性は、これまで以上に高まっているといえるだろう。こうした必要性の対応に当たってはマクロ計量モデルの活用が1つの手法として考えられる。各国の政府機関・中央銀行や国際機関で活用されるマクロ計量モデルにおいては、いわゆる「ルーカス批判」を受け、近年では経済理論との整合性が重視されたモデルが発展をみせている。本稿においては、最近の内外における計量モデル構築の潮流や主要なマクロモデルの体系、それらの理論的背景について紹介しつつ、筆者らが新たに構築した「MEAD-RIETIモデル」(MRM)について解説する。MRMは、四半期経済データをベースとして短期の各種リスク、政策効果の定量的評価等を目的とした計量モデルであるが、経済理論と整合的な均衡を配慮しながらデータとのフィットを重視したハイブリッド型モデルであり、SNA統計をはじめとする主要な経済変数を包括的に扱う一方、簡潔な推計式、採用する変数の絞り込みにより、モデルの複雑化を回避した。