タックス・コンプライアンスを巡る国際的連携の動きと我が国の政策対応の在り方(試論)

概要

経済金融取引のグローバル化に伴い、近年、Aggressive Tax Planning(濫用的租税回避)と呼ばれる動きが顕著にみられる。これに対するタックス・コンプライアンスを確保することは国際的に大きな課題となっており、OECD等の場において課税当局による国際的な連携の動きが進展している。

特に、主要国の課税当局の間では、近年、この問題を解決するための「手法」として、従来から行われてきた「Enforcementの強化」を図りつつも、これだけに拠るのではなく、納税者との間で信頼と相互理解に基づくEnhanced Relationshipの構築(協力関係の強化)を図り、取引内容の申告・開示を義務付けることにより取引の透明性を確保した上で、課税関係を申告前に確認・合意する「リアルタイムでの問題解決」を図る手法が重視されつつある。

本稿では、主として「行政的視点」から、最近のこの問題に関する国際的連携の動きを概観し、その意義と課題を明らかにするとともに、今後の我が国の政策対応の在り方を考察するものである。