政策研究領域(隣接基礎研究領域) A. 金融構造、コーポレート・ガバナンスの展開等、企業関連制度

「タックス・コンプライアンス」を巡る国際的連携の動きと我が国の政策対応の在り方

プロジェクトリーダー/サブリーダー

石井 道遠 顔写真

石井 道遠 (上席研究員)

リーダー

プロジェクト概要

2009年度~2010年度

経済・金融取引のグローバル化に伴い、タックス・ヘイブンなどのタックス・シェルターを利用した"ATP:Aggressive Tax Planning"(濫用的租税回避)が顕著になっている。これに対しタックス・コンプライアンスをいかに確保するかは、各国にとって、税の公平と国家財政の両面から深刻な課題であることは言うまでもない。

特に2008年以降、これまでに例のない国際的な脱税事件や世界的な金融経済危機が発生したことが契機となり、サミット、G20首脳会議、OECDなどの国際的な議論の場で、改めてタックス・コンプライアンスやコーポレート・ガバナンスの重要性が認識され、国際的な連携の動きが急速に進んでいる。

そのための手法として、主要国の税制・税務当局の間では、タックス・ヘイブンや納税者に対する「Enforcementの強化」を図りつつも、これだけに拠るのではなく、納税者との間で信頼と相互理解に基づく「協力関係の強化」(Enhanced Relationshipの構築)を図り、取引の透明性を確保した上で事前の確認・合意による「リアルタイムでの問題解決」を通じてコンプライアンスの向上を図ることが重視されつつある。このような手法は、既に欧米主要国で試みられているが、行政と納税者双方の透明性、効率化に資するとともに、企業のTax Risk Managementの強化を通じたコーポレート・ガバナンスの改善にも有効とされる。

この問題は、今後我が国においても、行政当局のみならず企業や個人、更には金融・資本市場を含む社会全体にとって、コンプライアンス、効率化、透明性などの改善に向けた取組みの一環として重要な検討課題になる。このため、本研究では、最近のタックス・コンプライアンスを巡る国際的連携の動きを概観してその意義を明らかにするとともに、今後の我が国の政策対応の在り方を検討する。

プロジェクト期間: 2009年9月 8日 〜 2010年6月18日

主要成果物

2010年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー