執筆者 | 石井 道遠 (上席研究員) |
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研究プロジェクト | 「タックス・コンプライアンス」を巡る国際的連携の動きと我が国の政策対応の在り方 |
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。
経済金融取引のグローバル化に伴い顕著になった「濫用的租税回避」に対し、今後、我が国においても以下のような政策対応を進めることにより、タックス・コンプライアンスの確保を図るとともに、課税の効率化や予測可能性と透明性の向上などを目指す必要がある。
1.取引の透明性を確保するための手続法の整備
(1)「海外銀行口座情報申告制度」、「タックス・シェルター情報申告制度」の導入と「法定資料制度」の整備・拡充
(2)現金取引、クレジットカード取引に関する情報収集の在り方の検討
(3)「納税者番号制度」の導入
2.「リアルタイムでの問題解決の手法」の充実
(1)課税当局における「リスク管理手法」の改善(納税者の透明性とリスクに応じた分類・管理)
(2)「透明性が低い高リスク納税者」に対するEnforcementの強化(調査等の重点化)
(3)「透明性が高い低リスク納税者」に対する「リアルタイムでの問題解決」の手法の充実
- 「事前照会・事前確認制度」の拡充(制度の趣旨及び法的拘束力の明確化)
- 事前照会・事前確認制度の利用者が「不利とならない担保措置」、ないし「有利となるインセンティヴ措置」の導入
- 信頼関係の構築と迅速な対応に向けた「税務執行体制」の整備