日本企業の為替リスク管理とインボイス通貨選択
-「平成21年度日本企業の貿易建値通貨の選択に関するアンケート調査」結果概要-

執筆者 伊藤 隆敏  (ファカルティフェロー) /鯉渕 賢  (中央大学) /佐藤 清隆  (横浜国立大学) /清水 順子  (専修大学)
発行日/NO. 2010年6月  10-J-032
研究プロジェクト 東アジアの金融協力と最適為替バスケットの研究
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概要

本論文は、海外との貿易取引を行っている製造業の全上場企業920社を対象として、2009年9月に調査票を送付して実施された「日本の貿易建値通貨の選択に関するアンケート調査」の回答結果をもとに、既存の研究からの知見を踏まえたファクトファインディングとしてまとめたものである。質問項目は、日本企業の為替リスク管理全般、為替変動による価格改定、輸出相手国別、および輸出形態別のインボイス通貨の通貨別シェアと多岐に渡り、その結果を輸出相手国、業種、企業規模に分類してそれぞれの特徴を表している。以上の調査結果は、1990年代以来、東アジア域内を中心として世界全体に構築されている日本企業の生産・販売ネットワークにおけるインボイス通貨の実態を精査する最初の試みとして、同分野の研究者のみならず、貿易取引における為替リスクに直面している日本企業の実務担当者、さらに、アジア域内の経済協力を模索している政策担当者に有益かつ新たな視点を提供するものである。