プロジェクト概要
2009年度~2010年度
2008年の世界金融危機の中で、米ドルが唯一の基軸通貨である国際通貨体制についての改革提案が行われるようになってきた。当研究プロジェクトでは、これまで、東アジアにおいて将来的には共通通貨バスケットを参照とした為替政策の国際協調を長期的に望ましい選択肢と位置づけ、共通通貨バスケット制度への移行までの金融為替政策運営、望ましい共通通貨バスケットの構成などを探るという、政策に直結する研究を行うことを目指してきた。今年度は、世界金融危機が東アジアの域内金融協力や為替制度選択にどのような影響を与えるかを考慮に入れた上で、2005年以降RIETIのWeb上で公表されているアジア通貨単位(AMU)およびAMU乖離指標を用いた為替協調政策の研究、貿易建値(インボイス)通貨の研究、日系企業のパススルー率の推定などの結果を踏まえて、アジアの通貨体制のあり方を模索する。
2008年度
当研究プロジェクトでは、将来的にはアジア地域において、共通通貨バスケットを採用することが望ましい有力な選択肢のひとつであると位置づけ、バスケット移行までの為替政策・金融政策運営、望ましいバスケット制の形態を探るという、政策に直結する研究を行っている。当研究プロジェクトの研究成果の一つであるアジア通貨単位(AMU)のデータは2005年9月よりRIETIのウェブサイトで公表され、内外からアクセスされている(2008年度月平均アクセス数1288)。さらに上記のテーマから派生する問題として、為替変動がどの程度国内物価に影響を与えるかというパススルーの問題、輸出入の建値通貨として何を選択するかというインボイス通貨の問題について研究を行っている。従来のマクロモデルを用いた手法に加えて、2007年度は日系企業ヒアリングを実施し、各企業が輸出輸入に際して、どのような為替戦略(建値、リスク管理)を採用しているかというミクロ的分析も行った。2008年度は、最適バスケット、建値・パススルーの問題について、ミクロ・マクロ両面からの成果を得ており、より実務に即した政策提言を行うことを目指していく。
2007年度
当研究プロジェクトでは、将来的にはアジア地域において、共通通貨バスケットを採用することが望ましい有力な選択肢の1つであると位置づけ、バスケット移行までの為替政策・金融政策運営、望ましいバスケット制の形態を探るという、政策に直結する研究を行っている。当研究プロジェクトの研究成果の1つであるアジア通貨単位(AMU)のデータは2005年9月よりRIETIのウェブサイトで公表され、内外からアクセスされている(2007年月平均アクセス数768)。さらに上記のテーマから派生する問題として、為替変動がどの程度国内物価に影響を与えるかというパススルーの問題、輸出入の建値通貨として何を選択するかというインボイス通貨の問題について研究を行っている。従来のマクロモデルを用いた手法に加えて、19年度は日系企業ヒアリングを実施し、各企業が輸出輸入に際して、どのような為替戦略(建値、リスク管理)を採用しているかというミクロ的分析も行った。20年度には、最適バスケット、建値・パススルーの問題について、ミクロ・マクロ両面からの成果を得て、より実務に即した政策提言を行うことを目指している。
2006年度
2004年から2005年にかけて、アメリカの経常収支赤字が拡大し、GDP比で7%に達するようになった。一方、中国の経常収支黒字も拡大し、GDP比で5%を超えた。中国に日本、さらに韓国やASEAN諸国を加えると、東アジアはアメリカに対し大きな貿易黒字を記録していることになる。この不均衡の解消の過程で、ドルが下落するようなことが起きた場合、東アジアの通貨体制に協力関係が無いと、いくつかの国に過大な増価負担がかかったり、あるいは増価をさけるための介入額が膨らむことが予想されるが、もし東アジアが協力して“Joint float”のメカニズム(たとえばCommon Basket:共通通貨バスケット)を構築できれば、世界不均衡解消過程での東アジアへのショックは、比較的小さくすむであろう。
本研究は、将来的には共通通貨バスケットを長期的に望ましい選択肢と位置付け、バスケット移行までの金融為替政策運営、また、望ましいバスケット制の形態を探るという、政策に直結する研究を行うことを目指している。
プロジェクト期間: 2007年7月 1日 〜 2011年3月31日
主要成果物
2010年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 10-E-045
"New Estimates of the Equilibrium Exchange Rate: The case for the Chinese renminbi" (SATO Kiyotaka, SHIMIZU Junko, Nagendra SHRESTHA and Zhaoyong ZHANG) - 10-E-034
"Determinants of Currency Invoicing in Japanese Exports: A firm-level analysis" (ITO Takatoshi, KOIBUCHI Satoshi, SATO Kiyotaka and SHIMIZU Junko) - 10-E-027
"Regional Monetary Coordination in Asia after the Global Financial Crisis: Comparison in regional monetary stability between ASEAN+3 and ASEAN+3+3" (OGAWA Eiji) - 10-J-055
「為替レートパススルー率の推移-時変係数VARによる再検証-」 (塩路 悦朗) - 10-J-032
「日本企業の為替リスク管理とインボイス通貨選択-『平成21年度日本企業の貿易建値通貨の選択に関するアンケート調査』結果概要-」 (伊藤 隆敏、鯉渕 賢、佐藤 清隆、清水 順子)
RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー
2009年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
関連ウェブサイト
2008年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
関連ウェブサイト
2007年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 08-E-010
"Widening Deviation among East Asian Currencies" (OGAWA Eiji and YOSHIMI Taiyo) - 07-E-040
"Exchange Rate Pass-Through and Domestic Inflation: A Comparison between East Asia and Latin American Countries" (ITO Takatoshi and SATO Kiyotaka) - 07-E-039
"Bank Restructuring in Asia: Crisis management in the aftermath of the Asian financial crisis and prospects for crisis prevention -Malaysia-" (ITO Takatoshi and HASHIMOTO Yuko) - 07-E-038
"Bank Restructuring in Asia: Crisis management in the aftermath of the Asian financial crisis and prospects for crisis prevention -Korea-" (ITO Takatoshi and HASHIMOTO Yuko) - 07-J-024
「名目為替パス・スルー率低下のマクロ的含意」 (塩路 悦朗、VU Tuan Khai、竹内 紘子)
関連ウェブサイト
2006年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 06-E-018
"Exchange Rate Changes and Inflation in Post-Crisis Asian Economies: VAR Analysis of the Exchange Rate Pass-Through" (ITO Takatoshi and SATO Kiyotaka) - 06-E-019
"The Chinese Yuan after the Chinese Exchange Rate System Reform" (OGAWA Eiji and SAKANE Michiru) - 06-E-020
"On Determinants of the Yen Weight in the Implicit Basket System in East Asia" (ITO Takatoshi and ORII Keisuke) - 06-E-024
"Chinese Exchange Rate Regimes and the Optimal Basket Weights for the Rest of East Asia" (SHIOJI Etsuro) - 06-E-028
"Adopting a Common Currency Basket Arrangement into the "ASEAN Plus Three"" (OGAWA Eiji and KAWASAKI Kentaro) - 07-E-002
"Progress toward a Common Currency Basket System in East Asia" (OGAWA Eiji and SHIMIZU Junko) - 06-J-028
「人民元改革の分析」 (伊藤 隆敏)
国際ワークショップ
- 2006年12月23日
"Regional Monetary Coordination and Regional Monetary Unit"