執筆者 |
塩路悦朗 (一橋大学経済学研究科) /VU Tuan Khai (横浜国立大学国際社会科学研究科) /竹内紘子 (横浜国立大学国際社会科学研究科) |
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発行日/NO. | 2007年5月 07-J-024 |
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概要
近年、名目為替レートのパス・スルー率が低下してきているという研究結果が報告されている。本稿では、このような変化がマクロ経済学的に持つインプリケーションをモデルに基づいて分析する。本稿の分析の特徴は、この目的のために2カ国からなる動学的な一般均衡モデルを構築していることである。このモデルにおいては2種類の貿易財生産者が存在する。第1のタイプの貿易財生産者は自国通貨建てで価格設定する。これに対し第2のタイプは外国通貨建てで価格設定を行う。このモデルにおけるパス・スルー率は両者の構成比で決定される。このモデルを用いてシミュレーション分析を行うことで、パス・スルー率の高低がもたらすマクロ経済のパフォーマンスの変化を明らかにする。具体的には、高パス・スルーの環境と低パス・スルーの環境それぞれのもとで為替レートの変動や外国における金融政策の変更などのショックに対する自国の輸出入物価、インフレ率、GDPなどの反応を計算し、どのような相違が発生するかを分析する。