東アジアエレクトロニクスデータベースの構築と日本企業の国際競争力の分析

執筆者 元橋 一之  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2010年4月  10-J-028
研究プロジェクト ITと生産性に関する実証分析
ダウンロード/関連リンク

概要

日本のエレクトロニクス産業の国際競争力は、韓国や中国といった東アジア諸国の追い上げによって、相対的に低下しているといわれている。ここでは、日本のエレクトロニクス産業の国際競争力について分析を行うために、日本、中国、韓国、台湾、米国における貿易統計と生産統計を接続した産業レベルデータベースを構築した。また、日本企業の海外における活動についても分析に取り込むために、海外事業活動基本調査のデータも接続して、1996年から2005年までの間の国際競争力の変化について分析を行った。エレクトロニクス産業全体を、民生用電気・電子機械、コンピュータ、通信機械、産業用電気機械、半導体・集積回路及び電子部品の6分野に分けてみると、重電と電子部品を除く分野で日本の競争力の低下がみられた。しかし、製品設計の複雑化・モジュール化の進展に伴って、半導体・集積回路や電子部品などの部品関係の市場は、それ以外の製品市場に比べて急速に拡大している。従って、日本のエレクトロニクス産業の競争力を維持するためには、比較的に競争力のある部品産業を中心とした技術経営戦略を構築することが重要である。