執筆者 |
森川 正之 (上席研究員) |
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発行日/NO. | 2007年12月 07-J-049 |
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概要
本稿は、「企業活動基本調査」のサービス産業を含むパネルデータを使用し、様々な企業特性と生産性(TFP)との関連を、定量的に分析したものである。
研究開発や情報ネットワークの高度利用は企業のTFPの水準や伸びと正の関係を持っている。ただし、情報ネットワーク利用高度化が直ちにTFPの水準や伸び率を高めるという関係は確認できず、背後にある企業固有の特性がより本質的だと考えられる。企業年齢の若い企業ほどTFPが高く、この関係は小売業や狭義サービス業で顕著である。パートタイム労働者の活用は、企業のTFP水準を高める関係があるが、TFPの伸び率とはマイナスの関係である。外資比率の高い企業ほどTFPの水準及び伸び率が高い傾向がある。ただし、外資比率の上昇は製造業ではTFP水準と正の関係を持っているが、小売業や狭義サービス業ではそうした関係が確認できない。
サービス産業の生産性向上のためには、企業毎の異質性を踏まえ、「組織資本」、「経営力」といった企業特性自体を変えるような対応が必要だと考えられる。