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2008年度政策研究領域(隣接基礎研究領域)

A. 金融構造、コーポレート・ガバナンスの展開等、企業関連制度

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(2009年6月22日現在)

リスクテイクと成長、安定を両立させる新しい経済制度作りを目指し研究を行う。

1. 金融・産業ネットワーク研究会および物価・賃金ダイナミクス研究会

活動期間:2008年9月22日〜2009年12月7日

プロジェクトリーダー

渡辺 努ファカルティフェロー

サブリーダー

植杉 威一郎コンサルティングフェロー

プロジェクト概要

(1)金融・産業ネットワーク研究会

  1. 複数行取引のコストとベネフィット、金融機関の審査能力

    ① 新規借入契約における金融機関間のバーゲニングの構造を分析することで、複数行取引の意義を明らかにする。
    ② 貸出決定までのプロセスを類型化し、金融機関間の行動の差異を明らかにする。
    ③ 目に見える情報以外に基づく銀行の審査による借り手企業のパフォーマンスを実証する。

  2. 銀行借入の代替手段としての企業間信用の役割

    ① 資金調達が容易な企業が、借入制約の厳しい企業に対して企業間信用を供与しているかを検証する。
    ② 金融機関からの借入と企業間信用は代替的と言われることが多いが、企業間信用の価格は外部からは分からないために、どのような理由で企業間信用と銀行借入が選択されるのかを明らかにする。

  3. 企業間の取引ネットワークと企業行動との関係

    ① 企業の退出において取引ネットワークがどのような役割を果たすかを分析する。
    ② 製造業の仕入・販売ネットワークで、需要の不確実性が及ぼす影響を分析する。
    ③ 地球シミュレータを利用して、企業間の取引関係ネットワークの構造を分析する

(2)物価・賃金ダイナミクス研究会
本研究では、ミクロレベルでの企業の価格設定行動を仔細に分析し、そこを出発点としてマクロの物価変動ダイナミクスに迫るという新しい接近法を採る。
本年度は以下の分析作業を行う。

  1. Home Scanner Data(家計がスキャナーを用いて記録した購買履歴をデータ化したもの)を用いて価格の店舗間のばらつきに関する分析を行う。特に物価上昇率とばらつきの関係を解明する。
  2. Home Scanner Data及びStore Scanner Data(POSデータ)を用いてプロダクトイノベーションと景気循環の関係に関する分析を行う。
  3. デジタル家電の価格変動についてオンライン市場とオフライン市場の比較を行う。
  4. 賃金粘着性に関する分析を継続する。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

RIETIポリシーディスカッションペーパー

出版物

RIETI政策シンポジウム

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2. 少子高齢化時代の労働政策へ向けて:日本の労働市場に関する基礎研究

活動期間:2008年9月29日〜2010年9月30日

プロジェクトリーダー

川口 大司ファカルティフェロー

プロジェクト概要

この研究計画は次の6つのテーマから形成される。
1)日本の労働市場の基本的事実の把握
2)雇用の非正規化の要因分析
3)雇用の非正規化が若年のキャリア形成に与える影響とその厚生評価
4)長期雇用制度が企業の生産性に与える影響の理論・実証分析
5)労働市場の流動化が企業の生産性に与える影響の理論・実証分析
6)企業人事データを用いた非正規労働者活用に関する実証分析
まず、近年の日本の労働市場における基本的な事実を大規模政府統計に依拠して明らかにする。そのうえで、特に着目されている雇用の非正規化に焦点を当て、非正規化の進行原因とともに、雇用の非正規化が個人のキャリア形成や厚生に与える影響を分析する。同時に雇用の非正規化がもたらす勤続年数の短期化が企業の生産性に与える影響を評価するとともに、労働市場の流動化による雇用のミスマッチの減少ならびに、生産性向上への影響について理論的かつ実証的な検証を行う。また、人事情報を活用することにより、企業内の非正規従業員の活用ならびに正規社員転換について分析する。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

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3. 組織と制度の経済分析:企業パフォーマンス・成長を高めるための組織・制度デザインのあり方

プロジェクトリーダー

鶴 光太郎上席研究員

プロジェクト概要

バブル崩壊以降、15年ほどの調整過程を経て新たなフロンティアへの飛躍を目指す日本経済にとって、潜在成長力、イノベーションを高め、促進させるような仕組み、デザインが必要となっている。その場合、企業のイノベーション、ひいてはパフォーマンスを高めるより本源的な要素として、企業の組織形態、人的資源のあり方、市場のインフラとなる制度から根本的に問い直すことが重要である。本プロジェクトでは、まず、近年活発化している企業買収・合併に着目し、1)その動機・意図は何か、また、2)組織再編が行われた後、当初期待されていた効果が発揮され、企業のパフォーマンスが向上しているか、について十分な検証を行う。また、敵対的買収防衛策のあり方、インプリケーションについても分析を行う。

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4. 小さな政府を前提とした官民連携による効率的な公共サービス供給方策に関する研究

活動期間:〜2009年6月30日

プロジェクトリーダー

山内 直人ファカルティフェロー

サブリーダー

守山 宏道コンサルティングフェロー

プロジェクト概要

少子高齢化と人口減少社会の到来、グローバル化と国際競争の激化といった大きな構造的変化の中で、政府のあり方については、経済の活力を維持し、公的部門の大きさを持続可能な範囲にとどめるために「小さな政府」へ向けた改革を進めていかなければならない。本研究プロジェクトにおいては、PFI、指定管理者制度及び市場化テスト等の官と民の協力関係(官民連携=Public Private Partnership(PPP))について類型整理、財政支出削減効果の定量的な検証、導入のインセンティブに関する分析等を地方公共団体・NPOへのアンケート調査等も実施しながら行う。これにより、我が国における官民連携による効率的な公共サービス供給の実現に向けた政策のあり方に示唆を与える。

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5. 企業統治分析のフロンティア:状態依存型ガバナンスの革新と企業間競争の役割

活動期間:2007年11月2日〜2009年4月30日

プロジェクトリーダー

宮島 英昭ファカルティフェロー

プロジェクト概要

1990年代後半、マクロ環境の変化と規制緩和・制度改革の急進展の結果、日本企業では事業・組織構造や企業統治に関して大規模な実験が展開され、内外の注目を集めてきた。当研究チームでは、こうした日本企業における統治構造の改革の実態と、その企業パフォーマンスに対する影響を解明してきた。今年度は、これまで充分に検討されてこなかった次の諸点の解明を進める。
1)制度的補完性の理論的再検討
2)株式所有の理論的再検討、並びに株式相互持合いの実証的検討
3)上場の意味、上場子会社の経済的機能
4)状態依存型ガバナンスの再検討
5)事業ポートフォリオ・分権化・企業統治の相互関係
6)自律的ガバナンス・内部ガバナンスの条件としての企業間競争の役割
以上の論点に焦点を合わせながら、新たな実証分析の手法を開発する一方、それに対応したデータの構築を進め、政策的インプリケーションの強い企業統治研究の新たなフロンティアの開拓をめざしたい。

主要成果物

MFJ-RIETI-WASEDA国際コンファレンス

関連ウェブサイト

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6. 社会経済構造の変化と税制改革

活動期間:2008年11月11日〜2009年12月31日

プロジェクトリーダー

岩本 康志ファカルティフェロー

サブリーダー

橋本 恭之ファカルティフェロー

プロジェクト概要

本研究グループでは、わが国の社会経済構造が高齢化、国際化、地球環境や格差の問題に直面し、変化するなか、税体系もこれらの変化に対応した抜本的な改革が必要とされるとの認識のもと、租税理論の成果を取り入れて、中長期的な視点から社会経済構造の変化に対応した税制のあり方を検討している。
本年度は同様の理念のもとに、前年の分析の拡張、および新しい分析課題に取り組む。具体的には、高齢化社会における社会保障と税制の関係、経済の国際化に対応した資本所得課税のあり方、地方分権の進展に対応した地方税のあり方、などの重要な課題で、学術的貢献が期待できるものを研究テーマとして選択する。現在、下記の4テーマを具体的に設定している。
1)法人税をめぐる転嫁と帰着の分析
2)公的年金の税方式化の経済効果:多部門世代重複モデルによるシミュレーション分析
3)社会保障と税制のあり方の分析
4)社会経済構造の変化に対応した地方税制のあり方について:地方税と地方交付税の関係をふまえて

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

RIETIポリシーディスカッションペーパー

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7. 労働市場制度改革

プロジェクトリーダー

鶴 光太郎上席研究員

プロジェクト概要

日本の「労働市場制度」(Labor Market Institutions)の新たな「かたち」、改革のあり方を考えるために、法学、経済学、経営学など多面的な立場から理論・実証的な研究を行う研究会を組織する。広く「労働市場制度」全般に目を向けながらも、それぞれの構成要素の相互関係に目配りし、特に、縦割り・垣根を越えた見地から包括的な労働法制のあり方について提言を行う。また、分析に当たっては、ヨーロッパ等の経験など国際的な視点・分析手法を十分取り入れながら、労働法制・制度と労働市場・雇用システム、ひいては経済パフォーマンスとの関係(非正規雇用問題を含む)を明らかにする。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

出版物

RIETI政策シンポジウム

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8. 持続可能地域経済システムに関する研究

活動期間:〜2009年1月31日

プロジェクトリーダー

中村 良平ファカルティフェロー

プロジェクト概要

日本経済は回復基調が続いているとは言え、地域経済にとってみれば地域間格差が広がっており、その傾向はまだら模様である。本プロジェクトでは、持続可能な地域経済システムの確立を目指して、次の4つの視点から分析を行っている。1)地域経済循環システムの分析、2)持続可能な地域の要件:資本と集積、3)持続可能な地域の要件:地域規模、4)地域格差理論の展望と検証。1)に関しては、倉敷市を対象圏域として調査を実施し、今後は非競争移入型の都市産業連関表を作成し、望ましい産業構造の分析を進めていく。2)に関しては、国勢調査や商業統計の詳細データを用いて、都市形状の解析を行いつつ、都市コンパクト度と持続可能性の関係を探っていく。3)と4)に関しては、実証分析での経済関係個票データ利用を前提として、内生成長理論と新経済地理モデルから格差分析のモデルを構築中である。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

RIETIポリシーディスカッションペーパー

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9. インセンティブ構造としての「企業法」

活動期間:2007年4月11日〜2010年6月30日

プロジェクトリーダー

宍戸 善一ファカルティフェロー

プロジェクト概要

コーポレート・ガバナンス論において、「会社は誰のものか」という切り口での議論が盛んに行われてきたが、今後は、企業活動に不可欠の資源の拠出者(人的資本の拠出者としての経営者・従業員と物的資本の拠出者としての株主・債権者)の間の「最適な動機付けの仕組は何か」という議論が必要になると思われる。法制度は、このような動機付け交渉に影響を与える重要なインフラの一つであるが、多くの分野に分かれた法制度を、インセンティブ構造としての「企業法」という観点から統一的に捉えようとした試みは行われてこなかった。会社法、金融商品取引法、倒産法、労働法、租税法を主たる検討対象とし、内外の各分野の専門家を結集して、企業法のリステイトメントを作成する。

主要成果物

RIETIセミナー

RIETI国際セミナー

関連ウェブサイト

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10. 経済社会の将来展望を踏まえた大学のあり方

活動期間:2007年4月13日〜2009年3月31日

プロジェクトリーダー

玉井 克哉ファカルティフェロー

サブリーダー

赤井 伸郎ファカルティフェロー

プロジェクト概要

2005年4月に国立大学法人制度が発足するなど、日本の大学をめぐって近年かなり大きな動きがあることは、周知の通りである。しかし、最近の制度改革によってすべての問題が解決したとはとても言い難い状況である。たとえば、国立大学の存在意義をはじめとして、「教育」と「研究」の相互関係と資源配分、運営費交付金や競争的研究の配分のあり方、国立大学法人を相互の競争と切磋琢磨に駆り立てるガバナンスのあり方、国立大学病院の経営など、さまざまな問題が未解決のままになっている。そしてこれらは、単に象牙の塔の将来に関わるだけでなく、21世紀のわが国の経済社会の将来にも関わる問題である。それについて考え方の手がかりを得るのが、今回の研究プロジェクトの目的である。現在、1)国立大学のパフォーマンスと資金配分の現状と展望、2)国立大学ガバナンスの現状と課題、3)大学と地域経済、をテーマに研究を進めている。

主要成果物

RIETI政策シンポジウム

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11. 起業家、潜在的起業家等の動向に関する調査研究

活動期間:2007年8月21日〜2009年12月31日

プロジェクトリーダー

安田 武彦ファカルティフェロー

プロジェクト概要

わが国の創業活動を開業率で見ると、21世紀に入りわずかながら上昇しているものの、国際的には最も低い水準にある。創業活動はイノベーションと深くかかわりを有するものであることを考えると、こうした状況は早急に改善されるべきものであり、政府としても政策融資など、様々な手段によって開業を促進してきている。しかしながらそれらの政策のバックボーンとなる起業家の現状、開業に当たっての障害などについては、データ等の制約から欧米各国と比べ多くのことがわかっていない。とりわけ開業予備軍とも言われる潜在的起業家(Latent Entrepreneur)の状況については、彼らの動向が一国の創業活動の水準を決めるにもかかわらず、ほとんど解明されてこなかった。こうしたことから本プロジェクトでは、国内の起業家、潜在的起業家の実態について解明するとともに、そこから得られた個票を元に統計解析により起業家活動の活性化に向け、今日、何が問題となっているのかを明らかにする。

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12. 地球温暖化対策の開放経済下における理論的検討

活動期間:2008年4月25日〜2010年3月31日

プロジェクトリーダー

石川 城太ファカルティフェロー

プロジェクト概要

京都議定書を批准した国々は、削減目標値を達成するため、さまざまな政策を検討、あるいは実施してきた。最近では、第一約束期間後の新たな枠組み作りに向けたさまざまな動きも活発化してきている。地球温暖化対策の代表的な政策は、排出税と排出割り当てであろう。これらの政策は、閉鎖経済においては一般に同値性が成り立つ。しかし、最近の理論的研究において、開放経済においては同値性が成り立たないことが指摘されている(たとえば、Kiyono and Ishikawa 2004, Ishikawa and Kiyono, 2006を参照)。とくに、炭素リーケージの問題が重要である。つまり、ある国での温暖化ガス削減政策が、その国でのガスの排出を減らしたとしても、間接的に他の国でのガスの排出を増やしてしまうという問題である。また、排出割り当てとセットになった排出権取引に関しては、理論的な研究が十分蓄積されているとは言い難い。様々なレベルで排出量取引制度が試行されてきてはいるものの、EUを除くと、大規模な排出権取引制度確立への取り組みは遅れている。本プロジェクトは、炭素リーケージの問題や排出権取引の問題などをとくに開放経済の枠組みの中で検討し、新たな知見を得ることを目的とする。

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13. 地球温暖化防止のための国際制度設計

活動期間:2008年4月25日〜2010年3月31日

プロジェクトリーダー

古沢 泰治ファカルティフェロー

プロジェクト概要

地球温暖化対策は、温暖化のメカニズム自体に対する認識の相違や、温暖化防止が次世代のために現世代が「犠牲」になるという側面を持っているため、有効な国際協調がとりにくいのが現状である。そのような状況における国際協調は、報復制度を盛り込んだ制度を設計するだけでは不十分で、各国のモラルに訴え協調へのインセンティブを維持する必要も出てくる。Hudec(1990)は、GATT国際法の遵守は「国際義務を果たすというモラル・政治的作用」と「報復措置の脅威」の2つの要因によっていると主張している。本研究は、この報復とモラルを硬軟の両輪とした協調促進制度を理論的に探究していく。

また、京都議定書でも問題となったように、地球温暖化問題にはフリーライダー問題が存在する。Maruta and Okada(2005)やFurusawa and Konishi(2008)が考察してきた協調参加問題もモデル化の際に考慮に入れる。また、温暖化防止の国際制度設計には、炭素税といった環境政策と輸入関税といった貿易政策が同時に関わってくるが、最適契約は、その両方を縛ることになるのか、もしくはそのいずれかに絞るべきなのかといった政策選択問題も重要であり、Horn, Maggi, and Staiger(2006)を参考にしながらこの問題についても考えていきたい。

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14. 地方分権・国際競争時代における地方活性化に向けたインフラ資産活用に対する行財政制度のあり方に関する実証的、国際比較制度分析−地方港湾の行財政運営制度・統治システムに関する考察−

活動期間:2008年6月16日〜2009年6月30日

プロジェクトリーダー

赤井 伸郎ファカルティフェロー

プロジェクト概要

成熟化社会を迎え、多様化したニーズに応えるため、地方が自己責任で行財政運営を効率的に行える制度に向けた改革が必要となっている。そのためには、国と地方の役割分担、住民によるガバナンスと行政のアカウンタビリティー、官民の役割分担の適正化が必要である。このような時代背景のもと、地域経済運営の重要な要素となるインフラ資産のひとつが、港湾である。しかしながら、これらの事業分野では、国と地方の役割分担が曖昧であり、地方が連携も通じながら自己責任で運営を行い、地方経済を活性化させるのに十分柔軟な行財政制度の整備はいまだなされていないと思われる。

具体的に財政的な視点から港湾を見てみると、国の港湾に関わる財政制度としては、国の港湾整備特別会計があるが、特別会計が生み出す効果の理論的背景の整理、港湾整備特別会計の財務諸表の詳細、個別港湾へのトランスファーの背後に潜在する再分配効果の推計、国による港湾整備補助が生み出す事後的な地方港湾の運営効率性への効果の分析は全くされていない。

また、地方港湾の財政に関しても、港湾独自の会計指標が十分では無く、どのように運営されているのかが住民などに十分説明されていない(アカウンタビリティーの欠如)。港湾のアカウンタビリティーの不備や国の規制が、所有形態、地域連携、地方港湾の運営効率性や地方自治体の将来に向けた取り組みに及ぼす影響も、理論的にも、実証的にも、十分には分析されていない。

本研究では、これまでの研究とは違った視点から、地方港湾を効率的に運営し地方経済を活性化する行財政制度のあり方を、多方面から検討する。

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15. グローバル化・イノベーションと競争政策

活動期間:2008年9月16日〜2010年9月30日

プロジェクトリーダー

川濵 昇ファカルティフェロー

サブリーダー

大橋 弘ファカルティフェロー

西垣 淳子上席研究員

プロジェクト概要

独禁法に基づく競争政策に対する関心が、アジア諸国を中心にここ数年で世界的に急速に高まっている。経済のグローバル化という新たな市場環境に直面する中で、世界各国は独禁法に基づく競争政策の運用やその考え方に対して大きな方向転換を迫られている。一方で、少子高齢化に突入した我が国がその経済活力を維持し続けていくためには、市場競争を十分に活用することを通じたイノベーションの更なる推進を欠かすことはできず、競争政策の役割はますます高まっている。本プロジェクトでは、こうした諸外国の動向を踏まえつつ、グローバル化とイノベーションの重要性がますます高まる中での競争政策のあり方について、法学・経済学・実務の知見を総合的に活用することにより検討を行う。

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16. 自立型地域経済システムに関する研究

活動期間:2009年1月20日〜2010年1月31日

プロジェクトリーダー

中村 良平ファカルティフェロー

プロジェクト概要

開放体系のなかで自立した地域経済を目指すには、地域資源の活用力(比較優位性)、域内に資金を呼び込む力(移出力)、域内の資金の流出を防ぐ力(循環性)といった地域の力が必要となる。また、自立力の継続性に関しては、地域経済のイノベーション力が必要となる。このような視点に立って、本プロジェクトは次の3つの柱から研究を構成する。
1)自立可能な地域集積の分析:どのようにすれば域外マネーを獲得していけるかを、供給面から投入要素の役割と技術進歩との関係、集積を導く三大要素である「知識の漏出」「連関効果」「要素の共有化」の外部経済効果を工業統計等の個票を用いて定量化を試みる。
2)自立可能な地域規模の分析:NEGモデルを応用して、地域格差の要因を市場と供給のポテンシャルに分けて検討する。また、将来の道州制も視野に入れた地域統合の効果に関してもポテンシャルを計測して検討する。
3)地域間格差の内生的解消:地域間格差は、地域にとって外生的な政策よりも環境財等を考慮した首都圏と地方圏の間での比較優位性のやりとりによる内生的な格差解決策が望ましい。NEGモデルを展開してシミュレーション分析を試み、政策的インプリケーションを示したい。

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17. 我が国のリスク資金供給の現状と政策課題

活動期間:2009年3月10日〜2010年3月31日

プロジェクトリーダー

村本 孜ファカルティフェロー

サブリーダー

吉野 直行ファカルティフェロー

プロジェクト概要

本研究プロジェクトでは、足元の金融危機の下で中小企業・地域に如何にリスク資金供給を行うかについて政策的観点を意識しつつ実施し、政策評価を踏まえ、可能な限り政策提言に繋げる。その観点から1)地域への資金配分、とりわけ地域の中小企業にいかに資金を供給するか、2)その資金供給はいかなる担い手によって実現されるか、という中小企業政策的視点で分析する。

現状において、リスク資金供給は地域密着型金融(リレバン)の中でも創業金融・融資で明確に位置付けられているが、間接金融ではカバーしきれない信用リスクなどが存在するため、ファンドの活用、ハイブリッド型融資(アップサイドリターン追及型融資)なども指向されているものの、その実績は金融機関融資の規模に比して極めて低い。したがって、リレバンの中でいかにリスク資金供給が可能であるのかを分析検討することも現状では極めて重要となる。

具体的テーマとしては以下を予定する。
1. 地方における資金ニーズの検証(地域の概念の整理とそこにおける資金ニーズ)
2. 中小企業基盤整備機構のファンド出資の実態と有効性
3. 新金融手法の有効性(ハイブリッドファイナンス、証券化など)
4. 地域におけるベンチャー支援施策への公的関与(政策金融機関の役割、地域金融機関相互の関連・競争など)
5. リレバンの深化に不可欠な手法(ソフト情報として知的資産、同経営評価など)
6. 地域における新たな取組み(住民参加型プロジェクト、金融NPO、介護ビジネスなどの民間資金導入スキームなど)
7. 海外の先進的手法の検討(レベニューボンドなど)

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